東日本大震災と津波の被災地に関する情報

東日本大震災、津波、原子力発電所事故に対する写真家松岡広樹の意見

ボランティアの体験談

松下剛士さんは松岡広樹の友人であり十八光堂メンバーです。松下さんが宮城県亘理町へボランティアに行って、見てきたことを紹介します。

なぜボランティアに参加したのか、参加しての感想

松下 なぜボランティアに参加したのかは、結局は自己満足の世界。自分もそういう作業に参加して貢献したぞというところかもしれません。でも自己満足の果てに喜んでもらえる方がおられるなら、やる意味があるだろうと行きました。自分が行ってみてどう感じるか、そのことを受け入れてみたい気持ちがありました。
義援金も方法としてはあるかもしれないけれど、一方的な報道とは違う「現場」を見てみたいと思いました。テレビではどのチャンネルをひねっても同じシーンばかりを繰り返し放送するばかりだし実際はどうなっているんだろうとも思っていましたし、被災者の人が求めている物は何なのかを知るには、自分が動かないとわからないという思いがあって行きました。タイミング的にも動ける時期に入っていたので、今しかないなというところがありました。最後に背中を押してくれたのは共に行った友だちです。

松岡 出発したのはいつ?
松下 4月28日の夜に出て、帰ったのが5月7日です。
松岡 車の運転は交代して?
松下 3人で行ったので2時間おきに交代で行きました。移動はそんなに大変ではなかったです。ぶっ通しの移動で、ほとんど仮眠らしい仮眠をせずに現地に入ってそのまま活動しようと思っていました。移動よりボランティアへの体力に心配はありました。行ってみると、体力を心配する以上にショッキングな光景だったのでそれどころでなくって、一日目は必死だったです。
テレビで見ていたとはいえ、リアルに見るとやっぱり違います。でも、人間、悲しいことにあの光景に慣れていくんです。あの非日常的な光景が3・4日すると日常的な光景になってくるんです。怖いなとも思います。

松下 当然地震で被害を受けたところも多くありますが、今回は津波の被害が大きいじゃないですか。津波っていう物をまざまざ見せつけられました。やっぱりテレビで見たら実際に起きたとわかっていても映画の世界なんですよね。でも、現場に行ってみても信じることができないんです。海岸線からこんなにも離れたここまで水が来たと思えないんです。水の痕跡はあるんですよ。壁の2メートルくらいのところにある水の痕跡を見ても受け入れにくいんです。でも、その場にいた人、経験した人にとってはとてつもない恐怖だったはずです。当初はガレキを見るだけでもかなりのショックでした。こんなことになるのかと、なんて人間って無力なんだろうと思いました。

ボランティアをするために用意しておくもの、下調べなど

松岡 ボランティアに出発する前にしておくことは?
松下 ボランティアセンターなどには出来るだけ頼らない準備が必要です。ヘルメット、帽子、カッパ上下、長靴、マスク、ゴム手袋、軍手、ゴーグルなどを私は準備していきました。思いつかなかった必要な物でボランティアセンターにあれば借りることもできます。
事前に下調べをしておくことが絶対に必要です。自治体やボランティアセンターに電話で県外からのボランティアを受け入れているかとか、期間の確認はしたほうがいいと思います。

マッチング

松岡 被災地に入って最初に何から始めるんですか?
松下 ボランティアをするためにはまず条件があって、災害ボランティアの保険に入らなければいけないんです。各自治体にある社会福祉協議会などで保険をかけることもできるし、ボランティアセンターでも入れます。天災Bプランていうのに入るんですけど安いですよ。700円くらいだったと思いますがそれで1年度有効です。あと、登録をします。

それから、自分を売り込むんです。どんなことができるとか。何を持っているとか。
松岡 入札みたいなもの?
松下 正式にはマッチングって言うんです。私らは「セリ」と言ってたんですけど。そのマッチングで自分の作業を確保するか他のグループにスカウトされるかです。マッチングに行きました。
マッチングでは依頼のあった作業の内容と依頼者の希望のボランティア数が読み上げられます。それに対して何人動けるかを指で示します。手を上げる人が多い場合は条件を提示されてだんだん上げる手が少なくなって決まっていきます。重宝がられるのは荷物を運べる車があることです。軽トラは人気です。もちろんガソリン代などは自分持ちです。スコップは救援物資や前にボランティアに入った人が置いていくこともあるのでボランティアセンターに事前に聴いておいてもいいかもしれません。
ゴールデンウイークに行ったこともあって休日当初はボランティアがとても多く殺到し混乱していてなかなか作業が当たりませんでした。幾つかのマッチングに参加してしてわかったのは、何人かのチームで車があると有利ということです。それで初めて会う隣の人等何人かで組んで決まりました。

マッチングのやり方は場所によって違うかもしれませんが、リーダーをきめて被災地に入っていきます。
松岡 え、リーダーは最初から居るのでなくてボランティアの中でリーダーを決めるんですか?
松下 そうです。私たちのリーダーは、地元で経験のある人だったので不安はありませんでしたが、他のグループは初めてのマッチングで土地勘もない人がリーダーになるケースもありました。

曲がった電柱

松下 なかなか伝えにくいのですが、しなり方が緩やかじゃないんですよ。
松岡 電柱の先が真横を向いてる?
松下 完全な真横じゃないんですけど...
松岡 高速道路の街灯みたいな感じ?
松下 そうそう、釣りで大物を釣り上げている竿のような曲がり方で、緩やかじゃないんですよ。なんでそこまで曲がっているのに折れないんだろうと。ひびも全然入っていない。(折れない程度の力がかかり続けるとコンクリートも曲がるそうです)自分の持っていた常識では考えられないことでした。このことがいちばんゾッとしました。

東北の人たちの気質

松下 海外のメディアで「日本人はこんな苦難の時でも一致協力して乗り越えようとしている」というような賞賛された報道があったけれども、間違ってないなと思いました。どこへ行っても感謝の気持ちが大きいんです。毎日9時すぎには寝てたんで4時すぎには目が覚めるんです。それで、朝の散歩をよくしてたんです。初めて見る顔なのにみんな挨拶されるんです。スーパーに買い物に行った時に信号待ちで止まってたら、全然知らない自転車に乗ってる女性が「ご苦労様です」と言って頭をさげて行かれるんです。基本的にあったかい感じの気質なんだなと感じました。それは一緒に行った友だちも言ってました。

濡れたたたみ

松岡 「今日はここの家をやりましょう」ってなるんですよね。どこから手をかけていくんですか?
松下 依頼内容によりますが、私が作業に入ったお宅で多かったのがガレキの撤去から始まって、屋内と庭の清掃です。屋内清掃ではたたみを屋外に出す作業がよくありますが、そのたたみがとても重いんです。
水が引いて1ヶ月半以上経っていても一回濡れるとたたみってなかなか乾かずかなり重たいんですね。濡れたたたみは、重さでしなるので掴み難いんです。しなるし重いので持ちにくくて手が滑るんです。1枚のたたみを2人で持ったこともあったけど4人で持つのがいちばん良かったです。家も大きいので12畳の部屋が何間もあったりすると大変です。
それから、家の中にかかります。

松岡 床の下にたまった泥はどうするんですか?
松下 家の人の希望があればやります。ほとんどの方は希望されます。
松岡 たたみの部屋は、たたみとその下の板をはがせばできますが、フローリングの場合どうするんですか?
松下 潜ってやります。なので全身どろんこです。


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2011.9.2.更新
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